しかし、サステナビリティは材料開発だけでは完結しません。
製品がつくられ、梱包されてお客さまに届くまでの“流れ”全体も、環境負荷の視点で見直していく必要があります。
後編となる本稿では、スターライトが工場・物流の現場で進めている
- 廃段ボールを“資源”として使い切る取り組み
- 使い捨てプラスチック梱包材を紙トレーへ切り替えるプロジェクト
の2つを軸に、「現場から進めるサステナビリティ」 をご紹介します。
目次
読了目安:約5分
廃段ボールを “その場で”価値に変える ― 段ボールシュレッダーの 活用
「環境には良いけれど、手間がかかるから続けにくい」
そんなジレンマから生まれたのが、廃段ボール活用の見直しでした。
スターライトでは以前から、他社から入荷した無地の段ボール箱や緩衝材を再利用し、
自社で使用する梱包資材の削減に取り組んできました。
しかし、廃段ボールを緩衝材として使おうとすると
- 箱のサイズに合わせてあらかじめカットしなければならない
- 隙間を埋めるための折り込み作業に手間がかかる
といった課題があり、環境には良い一方で現場では「正直使いにくい」「続けるにはややつらい」状態になっていました。
そこでBAKES工場では、廃段ボールを投入するだけで素早く緩衝材に加工できる段ボールシュレッダーを導入しました(左写真)。
幅400mm以下の廃段ボールを通すと、ガンギ状に加工された、 クッション性が高く使いやすい緩衝材がすぐに出来上がります。
CO₂削減とコスト削減を両立する 「見える化」
廃段ボールを捨てずに、そのまま緩衝材として再利用することで、 段ボール1枚あたり約50gのCO₂削減効果があると試算されました。
BAKES工場の物流エリアでは、月あたり約21.6kgのCO₂削減効果につながっています。これは、一般家庭が1カ月に排出するCO₂(約226kg)の約1/10。 イメージとしては約3日分の排出を抑えたことに相当します。
緩衝材購入費+作業工数も削減
環境面だけでなく、コスト面のメリットもあります。
以前は緩衝材としてクラフト紙を使用していましたが、これを廃段ボール由来の緩衝材に置き換えることで、
- 月あたりの緩衝材費を削減
- 切断・折り込み作業が減り、梱包作業の時間も短縮
といった効果が出ています。
SDGsのための取り組みであっても、
「どれくらい削減できたのか」「現場の負担は増えていないか」が分からなければ、なかなか続きません。
これが、スターライトが大切にしているポイントです。
梱包資材から「使い捨てプラゼロ」を目指す
廃段ボールの再利用は、あくまで「中身に手を付けない工夫」です。
スターライトではさらに一歩進めて、「梱包そのものから、使い捨てプラスチックを減らす/ゼロを目指す」ことを目的に、サステイナブル資材開拓プロジェクトを立ち上げました。
プロジェクトのねらいは、大きく2つです。
- 自社でコントロールしやすい領域(出荷用梱包材など)だけでなく、お客さまの“当たり前”になっている梱包仕様にも踏み込むこと。
- 出荷資材として使用しているプラスチック製トレーを見直し、使い捨てプラスチックそのものを減らす方向に舵を切ること。
その象徴的なテーマが、エンプラ機能品の出荷に使用するプラスチック製トレーの見直しです。
プロジェクトでは、プラ製トレーを紙製トレーへ切り替える検討を進めました。環境配慮型の紙素材メーカーと協業し、「環境配慮」「リサイクル性」「製品保護性能」 をバランスよく実現できることを念頭に取り組んでおります。
その道のりは、想像以上に険しかった。
紙トレーへの切り替え検討にあたり、主に以下4つの懸念点をあげ、1つずつ検証を行いました。
紙粉が製品に付着しないか(清浄性)
積載時に変形しないか(強度)
湿度・水分による変形や強度低下はないか(耐湿・耐水性)
バリ・毛羽立ちが品質に影響しないか(表面性)
ご提案したところ、「品証が紙トレーに不安を持っているので、切り替えを待ってほしい」という連絡が入り、一旦立ち止まることになります。
その後プロジェクトチームは粘り強く対話を続け、 梱包にも精通したベテラン技術者の方にも同席いただき、紙粉・強度・耐湿性などの懸念点を一つずつ説明しながら、理解を深めていきました。
そして迎えた、紙トレーでの初納入。
プロジェクトメンバーはこの一歩を、「不可能と思われた切り替えに対し、 粘り強く挑戦し、お客様に使っていただけた大きな一歩」と振り返っています。
素材と現場、両輪で進めるスターライトのサステナビリティ
前編のバイオマス材料開発、後編の梱包・物流の取り組みを通じて見えてくるのは、 スターライトが目指しているのは単なる「環境にやさしい会社」ではなく、
- 性能起点のサステナビリティ(X2101などのバイオマス高機能材料)
- 現場起点のサステナビリティ(段ボール再利用・紙トレーへの切り替え)
という、素材と現場の両輪で持続可能性を追求する姿勢です。
- 廃段ボールを、その場で価値ある緩衝材に変える段ボールシュレッダー
- 使い捨てプラを減らすために、お客様とともに一歩ずつ進める紙トレー化
こうした一つ一つの取り組みは、 数字としてはまだ小さく見えるかもしれません。
しかし、「どうせ捨てるものだから」 「お客様が指定しているから」とあきらめず、現場と素材の両側から“変えられるところ”を探し続けることが、 未来のものづくりを形づくっていくと、スターライトは考えています。