ターボ圧縮機では、内部を流れるガスの漏れを抑え、圧縮効率を維持するために、ラビリンスシールが重要な役割を担います。
ラビリンスシールの気密性を高めるには、ローターやシャフトとの隙間であるクリアランスを、できるだけ小さく設計する必要があります。
一方で、クリアランスを小さくしすぎると、運転中の発熱や温度変化によってシール部品が膨張し、ローターやシャフトと接触する可能性があります。
スターライトは、こうした課題に対応するため、ステンレス鋼に近い線膨張特性を持つ低線膨張樹脂材「ALP K03-406」を開発し、ターボ圧縮機向けの樹脂製ラビリンスシールへ展開しています。
樹脂製シールでは両立しにくいクリアランス設計
一般的な樹脂材料は、金属材料に比べて線膨張係数が大きく、温度上昇による寸法変化も大きくなる傾向があります。
そのため、発熱を伴う圧縮機のしゅう動部では、運転中の膨張を見込んで、あらかじめクリアランスを広く設定する必要がありました。
しかし、クリアランスを広くするとガスの漏れ流路が大きくなり、気密性や圧縮効率の低下につながります。
高い気密性が求められる用途では、熱膨張しにくい金属製シールが選ばれてきましたが、金属製シールには次のような課題があります。
- 接触時にローターやシャフトを傷付ける可能性がある
- 使用するガスによっては腐食が発生する
- 接触による損傷が、設備停止や補修につながる
- 安全性を考慮してクリアランスを広く設定すると、漏れが増える
ステンレス鋼に近い線膨張特性
スターライトが開発した「ALP K03-406」は、金属製シールの中でも熱膨張しにくいステンレス鋼と同程度の線膨張係数を持つ樹脂材料です。
ALP K03-406は、一般的な樹脂材料よりも温度変化による寸法変化を抑えやすく、ステンレス鋼に近いクリアランス設計が可能になります。これにより、金属製シールに近いクリアランス設計を検討しやすくなります。
※数値は代表値であり、保証値ではありません。
※使用条件や形状により、事前の検討が必要です。
ALP K03-406製ラビリンスシールの特長
1.クリアランスを小さく設計しやすい
温度変化による膨張を抑えることで、運転時の寸法変化を見込みながら、シールすきまを小さく設定しやすくなります。
クリアランスを小さくすることで、ラビリンス部を通過するガスの漏れを抑え、気密性の向上につながります。
2.圧縮効率の維持に貢献
ターボ圧縮機では、内部シール部からのわずかな漏れが、圧縮効率や運転コストに影響します。
ALP K03-406製ラビリンスシールは、クリアランス変動を抑え、漏れ流路を小さく保つことで、圧縮効率の維持に貢献します。
3.相手材への攻撃性を抑えやすい
樹脂材料は、金属材料に比べてローターやシャフトへの攻撃性を抑えやすい特長があります。
運転中に接触した場合でも、相手材の損傷リスクを低減し、設備の安定運転につなげます。
4.耐腐食性を活かせる
金属製シールでは、ガスの種類や使用環境によって腐食が課題になる場合があります。
ALP K03-406は樹脂材料の耐腐食性を備えており、金属材料では適用が難しいガス環境への展開も検討できます。
5.金属では難しい条件にも展開しやすい
低線膨張性、相手材への低攻撃性、耐腐食性を組み合わせることで、シール部の安定性を高め、長寿命化への貢献が期待できます。
金属製・一般樹脂製シールとの比較
| 比較項目 | 金属製シール | 一般樹脂製シール | ALP K03-406製シール |
| 線膨張係数 | 小さい | 大きい | ステンレス鋼と同程度 |
| クリアランス設計 | 小さくしやすい | 膨張を考慮して広く必要 | 小さく設計しやすい |
| 相手材への攻撃性 | 接触時に懸念 | 抑えやすい | 抑えやすい |
| 耐腐食性 | 環境により課題 | 材料特性を活かせる | 材料特性を活かせる |
| 気密性 | 高めやすい | クリアランスに制約 | 小さなクリアランス設計を検討しやすい |
| 長寿命化 | 使用条件による | 寸法変化が課題 | 安定運転に貢献 |
ガス圧縮機向けシールで培った材料設計の知見
スターライトALPは、PTFEをベースに、スターライト独自の材料設計技術を組み合わせた高機能しゅう動材料です。
低摩擦性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などを活かし、これまで大型ピストン式ガス圧縮機向けの次の部品で実績を積み重ねてきました。
- ピストンリング
- ライダーリング
- ロッドパッキン
- シールリング
- すべり部品
ガス圧縮機向けシール部品では、単に低摩擦な材料を選ぶだけではなく、長時間運転時の摩耗、相手材への攻撃性、寸法安定性、ガス環境への適合性などを総合的に見ることが重要です。
スターライトは、ALPで培ったガス圧縮機向けシール部品の知見をもとに、低線膨張樹脂材 ALP K03-406を活用したターボ圧縮機向けラビリンスシールを提案しています。
金属に近い寸法安定性と、樹脂材料ならではの低攻撃性・耐腐食性を組み合わせることで、気密性と安定運転の両立を目指します。
このようなご相談に
- ターボ圧縮機の内部漏れを減らしたい
- ラビリンスシールのクリアランス設計が難しい
- 樹脂製シールでは温度変化による膨張が不安
- 金属製シールによる相手材損傷や腐食を抑えたい
- ラビリンスシールの樹脂化や大口径化を検討したい
スターライトは、低線膨張樹脂材「ALP K03-406」と、ガス圧縮機向けシールで培った材料設計・成形・加工技術を組み合わせ、ターボ圧縮機向けラビリンスシールを提案しています。
ステンレス鋼に近い線膨張特性と、樹脂材料の低攻撃性・耐腐食性を活かし、気密性、安定運転、長寿命化を考慮したシール設計を検討します。
現行材質、使用ガス、温度、圧力、回転数、シール径、クリアランスなど、現在おわかりの条件をお聞かせください。