シール部品は、流体やガスの漏れを防ぐための部品です。
しかし、実際の設計では「漏れを止める」だけでなく、摩耗、発熱、しゅう動抵抗、温度変化、相手材への影響、組付け性、量産性など、さまざまな条件を同時に考える必要があります。
STARLITEは、プラスチックの総合技術メーカーとして、すべり軸受、シール、歯車、摩擦材など、幅広いカスタムメイド製品を提供してきました。材料設計、圧縮成形、射出成形、金型設計、機械加工、コーティング、組み立て、金属などとの複合化技術を組み合わせ、要求機能に合わせた製品づくりを行っています。
樹脂シールに求められること
シール用途では、漏れだけでなく、温度・相手材・しゅう動条件・量産性まで含めて整理する必要があります。
| 課題 | 起こりやすい用途 | 検討すべき観点 |
|---|---|---|
| 漏れを抑えたい | 圧縮機、ポンプ、バルブ | クリアランス、変形、寸法安定性 |
| 摩耗を抑えたい | 回転軸、往復動部、粉体まわり | 低摩擦性、耐摩耗性、相手材への影響 |
| 温度変化に対応したい | 高温、低温、極低温環境 | 線膨張、収縮、硬化、クリアランス変化 |
| 薬品・ガスに対応したい | 石油化学、特殊ガス設備 | 耐薬品性、ガス雰囲気でのしゅう動特性 |
| 大型・長尺に対応したい | 産業機械、製紙、船舶、圧縮機 | 成形範囲、加工性、分割・一体化設計 |
| 量産性を高めたい | OA機器、自動車、小型機器 | 射出成形、インサート成形、品質安定性 |
樹脂シールの課題は、材料だけで解決できるものではありません。
運動用シールの一般的特徴
| シールタイプ | 材質 | 運転形態 | シール構造 | サイズ | 取付性 | 相手材摩耗 | 許容PV値 | 価格 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 油潤滑 | 無・水潤滑 | |||||||||
| 接触型 | オイルシール | ゴム | 回転 | シンプル | 小 | 容易 | 微量 | 大 | 低 | 低 |
| スターライト リップシール | 樹脂 | 回転 | シンプル | 小 | 容易 | 微量 | 微量 | 中 | 中 | |
| メカニカルシール | 金属 | 回転 | 複雑 | 大 | 困難 | なし | なし | 高 | 高 | |
| スターライト シールリング | 樹脂 | 往復 | シンプル | 小 | 容易 | 微量 | 微量 | 中 | 中 | |
| スターライト チップシール | 樹脂 | スラスト | シンプル | 小 | 容易 | 微量 | 微量 | 中 | 中 | |
| 非接触型 | スターライト ラビリンスシール | 樹脂 | 回転 | シンプル | 小 | 容易 | なし | なし | 高(低圧) | 中 |
圧縮機ガスシール
ガス雰囲気に応じた材料選定で、摩耗・漏れ・寸法変化に対応
圧縮機のガスシールでは、ガスの種類、圧力、温度、水分量、しゅう動条件によって摩耗状態が変わります。
特にレシプロ式ガス圧縮機では、ピストンリング、ライダーリング、ロッドパッキンなどに安定したしゅう動特性が求められます。
石油・化学プラント、水素ステーション、特殊ガス設備などでは、ガスの種類や圧力、温度、運転条件によって、シールリングの摩耗状態が大きく変わります。
そのため、次のような課題が発生しやすくなります。
- ガス雰囲気の違いにより、想定より早く摩耗が進む
- 交換頻度が高く、設備停止や保全作業の負担が増える
- 相手材を傷つけ、軸や周辺部品の補修が必要になる
- 高圧・高負荷条件で、摩耗や変形が安定しない
- 大口径リングの製作・加工に対応できる先が少ない
- 使用後の摩耗状態から、原因や改善策を判断しにくい
STARLITE ALPは、PTFEをベースに、低摩擦性、耐熱性、耐薬品性などを活かした材料です。
圧縮機用ピストンリング、ライダーリング、ロッドパッキンなどの用途に対応し、各種ガス雰囲気に応じた材料選定が可能です。
また、使用済品の分析や摩耗状態の確認を通じて、材料変更や形状見直しの提案につなげることもできます。
こんなご相談に対応します
- ガス雰囲気に応じた材料選定
- 耐摩耗性・低摩擦性を考慮したシールリング提案
- 使用済品の分析・評価に基づく改善提案
- 大口径リングへの対応
- 既存材からの置き換え検討
ALPリップシール
液体中・回転軸まわりで、シャフトへの影響を抑える
液体中で使用される回転軸シールでは、漏れだけでなく、シャフト摩耗や発熱、しゅう動抵抗が課題になります。
特にポンプ、攪拌機、食品機械、産業機械では、長期運転時のメンテナンス頻度や、シャフト交換コストが問題になりやすいです。
- シール部の摩耗に加え、シャフト側の摩耗が補修コストを押し上げる
- 液体中でのしゅう動により、材料の摩耗状態や発熱の影響を判断しにくい
- オイルシールでは使用条件に対して寿命が足りず、交換頻度が高くなる
- メカニカルシールを採用するほどではないものの、汎用シールでは交換頻度や安定稼働に課題が残る
- 水分、ダスト、水蒸気などが混在し、シール材の選定が難しくなる
- 相手金属を荒らし、シャフトや周辺部品の摩耗・補修につながる
ALPリップシールは、PTFE系材料の低摩擦性・耐摩耗性を活かし、回転軸まわりのシール用途に対応します。
使用条件に応じて、材料、リップ形状、相手材との組み合わせを検討し、シャフトへの影響を抑えたシール提案につなげます。
こんなご相談に対応します
- 液体中で使用する回転軸シールの検討
- シャフト摩耗低減を考慮した材料提案
- 水分・ダスト・水蒸気を含む環境での使用検討
- オイルシールとメカニカルシールの中間領域での提案
- 現行シールからの置き換え検討
使用条件に応じて、次のようなシールタイプを検討できます。
| タイプ | 特徴 | 許容圧力 | 許容速度 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| オイル | 無潤滑 | ||||
| (MPa) | (m/s) | ||||
| ① | S |
リップシールの標準タイプ。一般的なオイルシールで使用できない速度・圧力・ 潤滑条件に対応可能です。 |
0.5 | 60 | 10*) |
| ② | ST |
Sタイプよりも温度変化の激しい環境下で使用可能です。金属インナーリングが 温度による寸法変化を抑制します。 |
0.5 | 60 | 10*) |
| ③ | P |
STタイプと比較して、金属シールケースがリップの変形を抑えることで耐圧性が 向上しています。 |
1.0 | 60 | 10*) |
| ④ | HP | Pタイプのリップをダブルにすることで、更に安定した耐圧性を発揮します。 | 4.5 | 60 | 10*) |
| ⑤ | T |
シールケースを射出成形でリップと一体化した規格品です。 軸径:φ5、φ6、φ8 |
― | ― | 0.5 |
*)軸径φ90の値です。
長尺・大口径シール/樹脂部品
サイズであきらめていた樹脂化にも対応を検討
大型設備や産業機械では、シール部品やしゅう動部品が大口径・長尺になることがあります。
サイズが大きい部品では、材料特性だけでなく、成形、加工、反り、分割構造、接合、組付け性まで含めて検討する必要があります。
現場で起こりやすいこと
- 大口径部品では成形・加工の制約があり、樹脂化の選択肢が限られる
- 分割構造のつなぎ目で、漏れ、段差、位置ずれが発生する
- 長尺部品では、加工精度、反り、寸法安定性の確保が難しい
- 金属部品の重量により、組付け・交換時の作業負荷が大きくなる
- 大型部品の摩耗が、設備停止やメンテナンス時間の長期化につながる
STARLITEでは、材料設計、成形、機械加工の知見を組み合わせ、大口径リングや長尺しゅう動部品の提案を行います。
ALPでは圧縮機用リングなどの大口径(Φ1000前後)対応が可能で、長尺しゅう動製品では20mの実績があります。
サイズや形状の制約で樹脂化が難しい場合でも、材料、成形方法、加工方法、分割・一体化の考え方を含めて検討することで、既存部品の置き換えや大型部品の樹脂化につなげられる可能性があります。
こんなご相談に対応します
- 大口径シールリングに適した材料・加工方法の検討
- 長尺しゅう動部品における反り・寸法安定性を踏まえた提案
- 分割構造における漏れ、段差、組付け精度の課題に対する形状検討
- 金属部品の重量や相手材への影響を踏まえた樹脂化提案
- 特殊寸法・小ロット品に対する成形・加工方法の検討
※対応可能寸法は、材料、形状、精度、数量により異なります。詳細はお問い合わせください。
トナーシール
粉体まわりの耐摩耗性と量産性を両立する
OA機器のトナーまわりでは、粉体の飛散、摩耗、発熱、寸法精度、量産時の品質安定性が重要になります。
トナーは細かい粉体であるため、わずかなすき間や摩耗粉の発生が、印字品質や機内汚れにつながることがあります。
現場では、次のような困りごとが起こりやすくなります。
- トナー漏れや粉体飛散により、機内汚れや印字品質の低下につながる
- シール部の摩耗粉が発生し、周辺部品や搬送部への影響が懸念される
- 長期使用により、シール部の寸法変化やヘタリが発生する
- 機器の小型化により、シール部品を配置できるスペースが限られる
- 部品点数が多く、組付け工数や管理負荷が増える
- 量産時の寸法ばらつきにより、シール性能や組付け性が安定しにくい
STARLITEのS-BEARグレードは、射出成形用の高機能樹脂材料です。
材料設計、高精度金型、精密射出成形を組み合わせることで、OA機器向けの小型・高精度部品で長年の実績を重ねてきました。
トナーシールでは、粉体まわりの使用条件を踏まえ、材料の耐摩耗性、形状、成形性、量産性を合わせて検討します。
たとえば軸径Φ10以下の軸まわりについても、精密射出成形による量産を前提に、寸法精度や成形安定性を考慮した提案が可能です。
インサート成形や部品一体化についても、仕様に応じて検討します。
こんなご相談に対応します
- 粉体環境での摩耗対策
- 射出成形による量産対応
- インサート成形・部品一体化の検討
- 小径軸まわりで、摩耗・粉体飛散・寸法ばらつきを抑えたい
- 小口径シール部品を量産したい
よくあるご質問
Q1. 圧縮機用のシールリングには対応できますか?
対応を検討できます。
レシプロ式ガス圧縮機向けのピストンリング、ライダーリング、ロッドパッキンなど、ガスシール用途での提案が可能です。ガスの種類、圧力、温度、水分量、しゅう動条件によって適した材料が変わるため、使用条件を確認したうえで材料選定や形状提案を行います。
Q2. ガスの種類が変わっても、同じシール材を使えますか?
ガス雰囲気によって摩耗状態や材料への影響が変わるため、同じ材料がそのまま適しているとは限りません。
水素、窒素、炭酸ガス、特殊ガス、湿潤ガスなど、ガスの種類や含水条件を確認し、耐摩耗性、低摩擦性、耐薬品性、寸法安定性を踏まえて材料を検討します。
Q3. 既存のシールリングが早く摩耗する場合、相談できますか?
相談可能です。
使用済みのシールリングや使用条件を確認し、摩耗状態、変形、割れ、相手材への影響などを参考にしながら、STARLITEの樹脂材料で改善提案ができるかを検討します。
運転条件、相手材、圧力、温度、ガス雰囲気、潤滑状態などの情報があると、材料変更や形状見直しの方向性を検討しやすくなります。
なお、すべての摩耗原因の特定や、他社材・金属材を含む包括的な原因調査に対応するものではありません。STARLITEの材料・加工・評価技術を活かした改善提案を前提に、対応可能な範囲を確認いたします。
Q4. 液体中で使用するリップシールにも対応できますか?
対応を検討できます。
ALPリップシールは、液体中や水分を含む環境で使用される回転軸シール用途として検討できます。ポンプ、攪拌機、食品機械、産業機械などで、漏れ、シャフト摩耗、しゅう動抵抗、メンテナンス頻度が課題になる場合に、使用条件に応じた材料・形状を提案します。
Q5. シャフト摩耗を抑えるシール材を相談できますか?
金属シャフトとのしゅう動では、シール材そのものの摩耗だけでなく、相手材への影響も重要です。相手材の種類、表面粗さ、回転速度、面圧、液体の種類を確認し、低摩擦性・耐摩耗性・相手材への低攻撃性を考慮して材料を検討します。
Q6. トナーシールのようなOA機器向けの量産部品にも対応できますか?
対応を検討できます。
S-BEARは射出成形用の高機能樹脂材料であり、小型・高精度な量産部品への展開が可能です。OA機器のトナーまわりでは、粉体飛散、摩耗粉、寸法ばらつき、部品スペース、組付け性などが課題になるため、材料設計と成形性を踏まえて提案します。
Q7. インサート成形や部品一体化も相談できますか?
仕様に応じて検討できます。
シール部品では、金属部品や他の樹脂部品との一体化により、部品点数削減、組付け工数削減、位置精度の安定化につながる場合があります。使用条件、相手部品、要求寸法、数量、成形方法を確認したうえで、インサート成形や一体化構造を検討します。
Q8. 極低温環境で使うシール材は相談できますか?
相談可能です。
LNG、液体水素、液体窒素、ヘリウムなどの極低温領域では、シール材の収縮、硬化、金属との熱膨張差が課題になります。STARLITEでは、-196℃環境での評価技術を活用し、低線膨張性、寸法安定性、クリアランス変化を踏まえた材料・形状提案を検討します。
Q9. 大口径や長尺のシール部品にも対応できますか?
対応を検討できます。
圧縮機用の大口径リング、長尺しゅう動部品、軸シールなど、サイズが大きい樹脂部品についても、材料、成形方法、加工方法を組み合わせて検討します。大口径や長尺品では、反り、寸法精度、分割構造、組付け性が課題になるため、仕様に応じて最適な製法を検討します。
Q10. 金属部品から樹脂シール・樹脂しゅう動部品へ置き換えできますか?
使用条件によって検討可能です。
樹脂化により、軽量化、低摩擦化、相手材への影響低減、メンテナンス性向上が期待できる場合があります。一方で、温度、圧力、荷重、寸法変化、耐薬品性などを確認する必要があります。現行部品の図面、材質、使用条件、不具合内容をもとに、置き換え可能性を検討します。